鈴木孝征研究室

研究紹介

シロイヌナズナを用いた種子油脂貯蔵プログラムの解明

種子植物は次世代の栄養として種子に様々な物質を蓄積しており、私たちはそれらを様々な用途に利用している。 種子に蓄積される成分のうち油脂(トリアシルグリセロールTGA)は食料としてだけでなく、化成品原料、燃料などにも使われ、近年バイオディーゼルの原料としても重要性を増している。 この研究では高等植物の油脂生産を制御する遺伝的な機構を明らかにすることを目的とし、油脂生産能力の向上を目指す。

シロイヌナズナはアブラナ科に属する一年生植物で、小型で生長が早いことなどから世界中の研究室で実験に用いられている。 シロイヌナズナは種子に油脂を蓄積するので、本研究ではこれを実験材料に用いる。 油脂の生産を制御する遺伝子を探索するために変異株のスクリーニングを行った。 油脂の量を直接測定することは労力がかかるため、スクリーニングを容易にするために形質転換体を用いた。 TAGを合成する酵素であるDGAT1(diacyl glycerol transferase1)もしくはオイルボディの構成タンパク質であるオレオシン(oleosin)のプロモーターの下流にホタルルシフェラーゼ遺伝子(LUC)を結合した組換え遺伝子をシロイヌナズナに導入し、その発現パターンの変化する変異株をスクリーニングした。 この研究では得られた変異株を解析して、原因遺伝子を同定することや、その遺伝子の機能を明かにすることを目的とする。

イネの胚発生に関わる遺伝子の同定

トマトの新しい台木品種の選抜とその形質に関わる遺伝子の探索

クンショウモを使った新しい遺伝地図作成方法の開発

クンショウモ

中部大学で採取したクンショウモ

中部大学で採取したクンショウモを培養し、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。 赤色はクンショウモの自家蛍光を示す。

クンショウモは日本中の淡水に生息している微細藻類の仲間である。 緑色植物門(Chlorophyta)緑藻綱(Chlorophyceae)ヨコワミドロ目(Sphaeropleales)に属する。 ここではフタヅノクンショウモ(Pediastrum duplex)をクンショウモとして話を進める。 クンショウモは主に16、32個の細胞が集まって群体を形成しており、その特徴的な形態から判別は容易である。 クンショウモの写真1 クンショウモの写真2

上記のリンク先にあるように同じクンショウモでもその形は非常に多様である。 これらの多様な形がどのような遺伝子によって生じているのかはとても興味深い。 またクンショウモの群体を構成する細胞の数は2の4乗とか5乗とかになっている。 これは親の細胞が一定回数分裂し、それが集まって群体を形成しているためである。 植物の細胞分裂制御を考えるうえでも興味深い生き物である。

参考文献: 井上勲著 藻類30億年の自然史 (東海大学出版会)

RAD-Seq

RAD-Seq (Restriction Site Associated DNA Sequence)は制限酵素でDNAを切断後、その付着末端にアダプターを結合させて、そこから高速シーケンサーで塩基配列を決定する方法である。 制限酵素はそれぞれが特定の塩基配列を認識して切断するため、RAD-Seqによって得られる塩基配列は同じものとなる。 超音波によってDNAを断片化する通常のライブラリの作成方法では、塩基あたりの読み取り回数(カバー数)を増やすためには、ゲノムサイズの何倍ものシークエンスが必要となる。 これに対しRAD-Seqではシークエンス領域を制限酵素サイトの近傍に限ることで、シークエンス量に対するカバー数を上げることができる。 RAD-Seqを用いることでDNAの多様性を低コストで解析することが可能となっている。

クンショウモの遺伝的な多様性の解析にはRAD-Seqを改変した方法を用いる。RAD-SeqはDNAを制限酵素で切断し、その切断位置近傍の塩基配列を調べる方法で、遺伝情報の多様性を網羅的に調べるのによい方法である。これまで行われているRAD-Seqは制限酵素サイト近傍の塩基配列がわかるのみで、その位置関係はわからない。この問題を解決し制限酵素地図の作成を行うことができる改良型RAD-Seqの開発を合わせて行う。

研究の目的

この研究ではクンショウモの遺伝的な多様性をRAD-Seqで明らかにすることを目的とする。 様々な場所からクンショウモを採取し、そのDNAをRAD-Seqで解析することによって、遺伝的な多様性がどのぐらいあるのかを示す。 またその違いを染色体マーカーとして用いることで遺伝地図の作成を行う。

RAD-Seqは制限酵素サイト近傍の塩基配列を調べることができるが、制限酵素サイト間の関係は分からない。 そこで制限酵素サイトどうしの関係性を保持したまま解析ができるような新しい方法を開発する。

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